

令和2年4月より病院長として赴任致しました竹島史直と申します。私は、長崎県佐世保市の出身です。長崎大学を1986年(昭和61年)に卒業後、これまで消化器内科医としてそして総合診療医として診療、研究、医師教育に携わって参りました。当院へ着任後早くも5年が経ちましたが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
今年度は、当院における大きな変革の年となります。当院の許可病床数は6病棟304床(一般230床、精神60床、結核10床、感染症4床)ですが、5階北病棟(40床)を閉鎖し、5病棟264床へ削減することといたしました。振り返りますと、令和2年8月より5階北病棟をコロナ患者専用の病棟として運用開始したのが発端となります。すべての病棟でコロナ患者を診る体制へ移行した後も、将来的な人口減に伴う患者数の減少や、効率的な病棟運営を念頭に置き、休棟のまま病床削減が地域に及ぼす影響を確認しつつ病院運営を行ってきました。結果として病床削減に伴う入院医療への影響は見受けられませんでした。一方、地域医療構想において五島地域の急性期病床は61床過剰であることが示されています。このような状況、将来予想を鑑み、今回正式に5階北病棟40床を削減することといたしました。今後は、削減した5階北病棟の有効利用のための改修工事に着手する予定です。その利用案として、夜勤看護師の休憩室、台風等災害時の帰宅困難職員や患者家族の宿泊施設、シミュレーター室、入退院支援室、医療安全管理室、感染管理室など様々な案が挙げられています。
すでに五島市の広報ではお知らせをしたことではありますが、本年1月より当院では五島市の周産期医療を守る目的で、セミオープンシステムを開始しています。これは、当院の設備と人員を福江産婦人科医院に一部開放(セミオープン)するシステムのことです。妊婦健診などの妊娠中の管理を、福江産婦人科医院と協働で行い、当院が分娩施設となることで、それぞれの役割分担が可能となり、安全性と妊産婦の利便性を保つことができると考えています。
昨年を振り返りますと、多くの医師の動きがあった1年でした。4月、6月の定例の異動時期に、医局の半数以上の医師が入れ替わる大異動でした。安定した病院運営のためには、できるだけ多くの医師に長期間当院での勤務を続けていただくのが良いのですが、各診療科の大学医局や個人のそれぞれの事情が重なり、このような状況となりました。地域の皆様にはご迷惑をおかけしましたがご理解いただければと思います。そのような中で、耳鼻咽喉科医師1名、外科医師1名、小児科医師1名は、増員となりました。耳鼻咽喉科の常勤医は、長年当院不在であり、その獲得は、私の宿願でもありました。長崎大学耳鼻咽喉科医局のご協力により、ようやく夢がかない、島民の皆様にも喜んでいただいているものと思います。また、小児科は、これまでは福江島内に2名のみでしたので、増員により安定した小児診療に貢献できると思います。
本院は基幹型臨床研修病院であり、研修医教育にも力を入れています。今年度も新たに4名が加わり、現在6名の研修医が研修中です。海と緑に恵まれた大自然の下、長崎大学病院派遣の専門医による丁寧な指導と垣根のないアットホームな医局の雰囲気が魅力と自負しています。また同時に、長崎大学医学部医学科学生、保健学科学生の病室実習、長崎県立五島高等学校衛生看護科講義、実習など学生教育にも積極的に取り組んでいます。私は、次世代を担う医療人材の教育・育成が、これからの離島医療のために最も重要なことと考えています。
今後も離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島では不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めます。引き続きご支援ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
令和7年4月 五島中央病院 院長 竹島史直